区分1のキャリアパス要件は、勤務条件・賃金体系と研修計画の2本立て
処遇改善等加算の区分1(基礎分)は、キャリアパス要件を満たすか、区分3の適用を受けていることが条件です。
キャリアパス要件は、(1)勤務条件と賃金体系の書面整備、(2)資質向上の目標と研修計画の策定・実施・周知の2つで、両方に適合する必要があります。
この記事は、(2)の研修計画の中身のうち、現場で迷いやすい3点を扱います。研修の程度、フィードバックの形、資格取得のための支援です。通知の枠組みと令和7年度限りの経過措置の扱いは、処遇改善等加算の加算率の決まり方で確認できます。
| 項目 | 通知の定め |
|---|---|
| (1) 勤務条件・賃金体系 | 職位・職責・職務内容等に応じた勤務条件等の要件と、賃金体系(一時金等の臨時的に支払われるものを除く)の両方を定め、就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての職員に周知する |
| (2) 計画の策定 | 職員と意見を交換しながら、資質向上の目標と具体的な計画を策定する |
| (2) 研修 | 計画に係る研修(通常業務中に行うものを除き、教育に係る長期休業期間に行うものを含む)を実施するか、研修の機会を確保し、全ての職員に周知する |
| (2) ア 提供とフィードバック | 計画に沿って研修機会の提供または技術指導等を実施し、そのフィードバックを行う |
| (2) イ 資格取得の支援 | 幼稚園教諭免許状・保育士資格等を取得しようとする者がいる場合は、資格取得のための支援を実施する |
区分1の要件が、区分2・3の対象職員や配分とどう違うかを並べています。
処遇改善等加算の区分1・2・3の比較を開く研修はどの程度なら認められるか。FAQの答え
研修は、職位や職務内容に応じたものを実施するか、研修の機会を確保していればよく、社会通念上明らかに職員の研鑽が目的でないものを除いて、施設の実情に応じた取り組みが認められます。
FAQ(第4版・令和7年9月2日時点版)の問5は、所長研修や主任保育士研修のような職位に応じた研修と、職務内容に応じた研修を例に挙げています。
FAQの回答は、研修の時間数や分野を条件として挙げていません。区分3で求められる保育士等キャリアアップ研修(分野別・15時間以上)とは別の話です。区分3の研修は保育士等キャリアアップ研修とはで確認できます。
フィードバックは個別面談でよく、5段階評価までは求められない
通知は、研修機会の提供や技術指導等を実施したうえで、そのフィードバックを行うことを求めています。
FAQの問6は、研修や技術指導の効果が資質の向上につながっているかを個別面談などで確認することでも足り、A〜Eの5段階評価までは求めないと答えています。
問5は、フィードバックの例として、個別面談や、職員の自己評価に対して施設長や管理職が評価を行うことを挙げています。職員が業務や能力を自己評価し、その認識が事業者全体の方向性でどう受け止められているかを確認し合う、という趣旨に沿って運用されていれば、要件を満たすと考えられるとされています。
資格取得の支援は、例示の全てを満たす必要がない
通知は、幼稚園教諭免許状・保育士資格等を取得しようとする者がいる場合に、資格取得のための支援を実施することを求めています。例として、研修受講のための勤務シフトの調整や休暇の付与、交通費、受講料等の費用負担の援助が挙げられています。
FAQの問7は、この例示の全てを満たすことは想定していないと答えています。
通知の文言は「取得しようとする者がいる場合」です。取得を希望する職員がいる園で、例示の一部(たとえばシフト調整だけ)を実施している場合も、問7の答えの範囲と読めます。
FAQは、支援が資格の取得を促すためのものであることを前提にしています。どの内容がどこまで要件を満たすかの最終的な判断は、認定を行う自治体への確認が必要です。
旧加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの時期に整えた就業規則等は、読み替えて使える
(1)の書面整備について、FAQの問14は、令和6年度に就業規則等を整備して旧加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲを取得し、令和7年度も区分1・2・3を算定して実質的な変更がない場合は、適宜読み替えて、就業規則等が整備されているものとして取り扱って差し支えないと答えています。
| 現行の区分 | 旧加算での対応 |
|---|---|
| 区分1 | 加算Ⅰ(基礎分) |
| 区分2 | 加算Ⅰ(賃金改善要件分)または加算Ⅲ |
| 区分3 | 加算Ⅱ |
実質的な変更が生じていない場合に限った扱いで、勤務条件や賃金体系の中身が変わっているときは、変更後の内容を書面に反映します。
旧加算から区分への一本化の経緯は、冒頭で紹介した加算率の解説のよくある質問にも書かれています。
要件ごとに、園で用意しておく書面と記録
要件を満たすかどうかの判断は認定を行う自治体が行うため、園では、判断に必要な書面と記録を、通知の項目ごとにそろえておきます。
勤務条件と賃金体系の根拠を確認する
職位・職責・職務内容に応じた勤務条件と賃金体系が、就業規則等に書面で定められ、非常勤職員を含む全職員に周知されているかを確認します。
資質向上の目標と計画を確認する
職員と意見を交換して作った目標と研修計画があるかを確認します。計画の周知の記録も残します。
研修の実施・機会確保の記録を残す
実施した研修や技術指導、研修の機会として確保したものを記録します。通常業務中に行うものは、通知上の研修から除かれます。
フィードバックの実施を記録する
個別面談などで、研修や指導の効果を確認した記録を残します。評価の段階づけは必須ではありません。
資格取得を希望する職員の有無と支援を記録する
取得を希望する職員がいる場合は、実施した支援の内容を残します。
よくある質問
判断がつかない取り組みは、認定を行う自治体へ、実際の取り組みの内容を示して確認します。
- フィードバックのために、職員全員をA〜Eで評価する必要がありますか。
いいえ。FAQの問6は、個別面談などで研修や技術指導の効果を確認することでも足り、5段階評価等までは求めないと答えています。
- 資格取得の支援は、シフト調整・休暇・交通費・受講料の4つを全て用意しないといけませんか。
いいえ。FAQの問7は、例示されている取り組みの全てを満たすことは想定していないと答えています。資格の取得を促すための支援であることが前提です。
- 区分3を取得していれば、キャリアパス要件は別に満たさなくてよいのですか。
通知は、区分1の要件を「(1)及び(2)のいずれにも適合すること又は区分3の適用を受けていること」と定めています。区分3の適用を受けていれば、キャリアパス要件の適合は別に求められない書き方です。区分3の適用に必要な条件は、自治体の認定で確認します。
- この試算で、自園がキャリアパス要件を満たしているか判定できますか。
できません。試算は認定済みの加算率を入力して加算額を計算するだけで、要件への適合や認定の可否は判定しません。
要件の確認が済んだら、認定済みの加算率で試算する
区分1の要件に適合しているかの確認と認定は自治体の手続きで、試算には認定された加算率を入力します。
認定済みの加算率(a)(b)を入力すると、処遇改善等加算を含めた試算結果を確認できます。
公定価格の試算を開く次に知りたいこと:区分2の要件と提出書類、区分3の発令要件、賃金改善の配分方法、翌年度の実績報告と差額精算。
この記事が参照した一次資料
- 施設型給付費等に係る処遇改善等加算について
こ成保296、7文科初第250号(令和7年4月11日。最終改正: こ成保319、8文科初第171号、令和8年4月8日)/令和8年度当初/確認日 2026-09-17
- 処遇改善等加算に関するFAQ(よくある質問)(第4版)
該当なし/令和8年度当初/確認日 2026-10-08